
レモンバームは3センチほどのやわらかな葉で、ふちはノコギリの歯のようです。成長すると茂みになり、夏には白や黄色みがかった花が咲きます。葉は指先でもむとレモンの香りがたち、花からはレモンの香りの蜜がとれます。
レモンバームの主な利用法は、ハーブティーです。ポットにフレッシュな葉を入れて、熱湯を注ぎます。レモンバームの葉だけでお茶を入れることもあれば、カモミールなど他のハーブとあわせることもあります。濃い目に抽出して、シャーベットやゼリーにすることもできます。口の中にとどまる時間が長くなり、ハーブの風味をより楽しめる方法です。
穏やかなレモンの味があうものなら、肉や魚の料理から、サラダ、デザートまで幅広く使うことができます。葉を刻んで、トマトのサラダに混ぜたり、冷製の鶏肉料理に入れたり、ホワイトソースに加えたりします。フルーツや生クリームを使ったデザート、スムージーやカクテルにもあわせることもあります。
レモンバームは、地中海沿岸地域で2000年以上も前に、古代ギリシャ人によって栽培されていました。花がミツバチを呼びよせたので、古代ギリシャ人はミツバチとレモンバームの間には強いつながりがあると考えていました。レモンバームが近くに生えている巣は捨てられることがない、ミツバチはこの植物を巣に帰るときの道標にしている、などと信じていたのです。(当時はまだ砂糖がなく、ハチミツが唯一の甘味料でした。)
中世には修道院の庭で育てられ、修道士たちは薬法書に従って、リキュールにレモンバームを入れていました。多くの文化で、このハーブは心を落ち着かせる不思議な力があると言われていました。11世紀のアラブの医師は、気分の落ち込みや不安に対する治療薬として紹介しています。
20世紀に温暖な地域からレモンが安く輸入されるようになると、レモンバームの消費量は減っていきました。しかし、レモンの香りがするけれど酸味が穏やかなこのハーブは、近年人気が再燃しています。園芸植物として世界中の温暖な地域で栽培されているほか、医薬品や化粧品、家具のつや出し剤などにも利用され、商業栽培もされています。