
ローズマリーは属名を「ロスマリヌス」といい、ラテン語で “海の露” という意味です。地中海沿岸地域が原産で、海の近くの岩だらけの土地に自生しています。木質化して成長する常緑の植物で、秋から夏に唇形の花が咲きます。色は青や紫色がほとんどですが、白や淡いピンクのものを見られることもあります。
ローズマリーの細い枝は、たくさんの平たい棒のような葉でおおわれています。香りはさわやかで温かみがあります。葉を食べると、舌にひりひりした渋みを感じ、苦みと清涼感が残ります。小枝や葉は、年間を通じて摘むことができます。
ローズマリーは香りが強いので、淡白な肉より個性の強い肉とよくあいます。仔羊、鹿、ウサギなどの肉の臭みを消して、その風味を引き立てます。刻んだ葉をまぶして豚肉のハーブ焼きを作ったり、赤ワインやオリーブ油に小枝を漬け、牛肉や鴨肉をマリネしたりします。ジャガイモとも相性がよく、塩ゆでしてオリーブ油をからめたものにローズマリーをちらして高温で焼くと、葉もカリカリとおいしく食べられます。
フォカッチャなどのパン、スコーンやビスケットの生地に、葉をちらしたり混ぜ込んだりもします。シロップや生クリームで小枝を煮れば、香りだけつかうことができます。香りをうつしたシロップは、例えばレモンやソーダを使ったサマードリンクに利用します。花びらは砂糖漬けのかわいらしい菓子にしたり、砂糖の容器にうずめておけば、香りのよいローズマリーシュガーになります。
ローズマリーは西欧の歴史において、人々の生活と深く結びついてきたハーブです。結婚式で花嫁が貞節の象徴として見に着けたり、墓穴に棺を下ろした際、思い出の象徴として投げ入れたりしました。クリスマスには、教会や家の戸口や柱に飾られました。常緑の木には魔よけの力があると信仰されていたからです。
17世紀、コレラなどの疫病が蔓延した時代には、イギリスでは殺菌力のあるハーブとして床にまき、病気を予防しようとしました。フランスの病院では20世紀に入るまで、ジュニパーベリーと一緒に焚いて、空気を消毒していたといいます。
またこのハーブは、古くから記憶力を高めて頭の働きを良くし、若さを保って老化を防ぐ植物と信じられてきました。今日でもハンガリーウォーターと呼ばれる香水の主成分となったり、頭皮や髪を健やかにするとして、シャンプーやリンスの材料に加えられたりしています。