
コリアンダーは、タイ語でパクチー、中国語で香草(シャンツァイ)、北アメリカでシアントロと呼ばれるハーブです。16世紀のハーバリスト(植物学者)のジョン・ジェラートに「とても臭いハーブ」と言われましたが、中国では芳香植物として知られていました。現代でも好き嫌いの分かれるハーブで、鮮烈な青臭さに夢中になる人もいれば、不快に感じる人もいます。
西アジア、地中海地域が原産ですが、今では世界中で栽培されています。葉や茎だけでなく、根や種も食べることができ、根はつぶして香りづけに、種はくだいてスパイス(コリアンダーシード)として使います。葉の香りは複雑で、コショウ、ミント、レモンを思わせる風味がします。
アジアでは毎日の食事に欠かすことのできないハーブで、サラダや麺の薬味にしてふんだんに食べます。タイでは野菜や魚介のスープにちらし、インドでは他のハーブやスパイスと組み合わせてグリーンマサラペーストを作ります。インドネシアではラム肉や牛肉、ココナッツミルクと煮たり、串焼きにぬるソースに加えたり、根をすりつぶしてスープのベースとなるペーストを作ったりします。
中東やアフリカの料理でも活躍します。モロッコではイタリアンパセリと一緒に使うことが多く、クスクスのスープ、オムレツなどに加えます。ヨーロッパの中でコリアンダーをよく使うポルトガルでは、タラの塩漬けと一緒に料理したり、豚肉とハマグリの煮物にしらしたりします。
コリアンダーは地中海東端の古代住民によく知られ、種子は数千年前からヨーロッパの台所に常備されてきましたが、アジアのようにハーブとして食べる習慣はありませんでした。1960年代になっても葉の部分を手に入れるのは大変で、西洋人向けの中華料理の本には、パセリで代用するように書かれています(そのため、チャイニーズパセリ、インディアンパセリと呼ばれていました)。けれども次第にハーブとしても広く知られるようになり、コリアンダーは新しい食材として西洋の台所に受け入れられるようになりました。