クローブ Cloves

ホール(砕いていない状態)のクローブ

 クローブの木は、10〜13メートルの高さにまで成長する熱帯の常緑樹で、年に2回つける花のつぼみがスパイスになります。収穫にははしごを使って木にのぼり、開花前の小さなつぼみを摘んでいきます。それを織物の上に広げて、3日間天日干しをすると、淡い黄緑色から濃い赤茶色 に変わっていきます。

 出来上がったスパイス は、ざらざらしていて、釘のような形をしています(フランス語の釘Clouが名前の由来です)。しょうのうやコショウのような香りがして、かじると舌がしびれるように痛く、苦みや辛味、フルーティーな風味を感じます。

 クロープは世界中で、さまざまな料理や菓子に使われています。肉を塊で焼く場合には、表面に丸のまま刺し、ハンバーグやミートソースなどの挽き肉料理にはパウダーにして混ぜ込みます。シチューに香りをつけたいときは、玉ねぎの中に1粒を押し込みます。イギリス人はパウダーをアップルパイに入れることがあり、ドイツ人 はスパイスのきいたパンを作るときに、オランダ人は聖ニコラス祭(12月5日)のためのビスケットに使います。

 アジアの大半の国ではカレーパウダーの中に入っていて、インドではガラム・マサラ(スパイスミックス )に不可欠です。香りが命のガラム・マサラは、使う直前にシナモン、クローブ、カルダモンをよく乾煎りし、それから粉にします。スパイスミックスでは他に、中国の五香粉、フランスのカトルエピス(4つのスパイスの意味)などに使われます。

 クローブの原産地は、スパイス諸島としても知られるインドネシアのモルッカ諸島です。紀元前から中国、インド、イランなどに伝わり、殺菌や消毒剤として利用されていました。ヨーロッパヘは絹などとともに伝わり、6〜7世紀の貴族たちにもてはやされました。クローブの交易は、長く中国が独占していましたが、やがてポ ルトガル、オランダが生産地ごと争奪します。

 スパイスの産地を支配した国々は、自分たちの独占が破られないように神経をとがらせていました。市場価格を下落させないため、クローブの林を焼いて実を盗まれないようにしたり、ナツメグの種は自然発芽しないように、輸出する前に石灰をかけたりしました。

 ヨーロッパの各国は、スパイスの種や苗木を盗み出そうとすることをあきらめませんでした。18世紀後半、フランスの冒険家ポワブルがクローブの種を持ち出すことに成功し、モーリシャス島(アフリカ、マダガスカル島の真東)に伝えます。その後クローブは、マダガスカル島、ザンジバル島、ペンバ島にも移植され、今ではこれらの島々がクローブの世界最大の生産地です。

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