スパイスカフェを“見つけた”のは、ハーブとスパイスの勉強を始めて、ひと月た った頃でした。
ハーブやスパイスの料理を出すカフェってないのかな。
そう思って検索したら、「スパイスカフェ」が出てきました。場所は押上。48か国を旅したオーナーが、生まれ育った下町にオープンしたのだといいます。
行ってみたいな。でも、ホームページの写真を見ているうちに……あれ、このカフェ、行ったことがあるかもしれない。
もう15年くらいたつ気がします。その頃読んでいたスイーツ雑誌にのっていて、おばに連れていってもらいました。駅前の駐輪場をつっきって、たくさんの角を曲がってたどり着いたお店は、緑に包まれた一軒家。当時はまだ珍しかった古民家のカフェで、はしゃぎながら、たしかチーズケーキを食べたんだと思います。
しばらくぶりの押上はずいぶん変わっていたけれど、お店の風変わりな入口も、見つけた途端笑ってしまったのも同じでした。
曲がった老木やツタのはう一軒家が建っていて、そのわきのトンネルのような細い通路が、玄関の方へ伸びていました。通路の天井は半透明のトタンで、はりからさまざまな植物の葉がたれさがり、くもり空の白い光を透かしています。
扉を開けると、スパイスの香りがしました。案内されたテーブルは大きな窓にくっついていて、 雨上がりの緑の庭が見えました。店員さんが来て、壁から黒板を外してメニューを見せてくれました。ランチは4種類のおかずと、選べるカレー、ドリンクとデザートがついています。わたしはスリランカ風エビのカレーを頼みました。
運ばれてきたカレーは、赤くてさらさらしていました。口に入れると海老のスープの味がして、それからすっと消えていきます。ライスの皿には、小松菜やキャベツの炒め物、豆のカレー、マッシュポテトがのっていました。どの料理にもスパイスが使われているようで、その中にひとつ、知っている味を見つけました。この間、家でサラダに使ったクミンの味です。
デザートは柚子のジャムがのった白いパンナコッタでした。紅茶と一緒に食べながら、古民家はきれいな色のデザートがとても似合うと思いました。