メース Mace

乾燥したメース

 メースはナツメグと同じで、ニクズキの果実からとれます。ニクズキの果実は黄色っぽいアンズのような実で、中心の種を赤い網目状のものが包んでいます。これがメースです(種の内側にある核が、ナツメグです)。メースを種からはがして乾燥させると、鮮やかな赤い色がだいだい色に変わっていきます。メースはナツメグの10分の1の量しか収穫できないので、ナツメグより高価です。

 ナツメグとメースは同じ木から生み出されるので、風味が似ています。けれどメースの方が、上品で豊かな味わいです。色が薄いので、素材の色を生かすことができます。澄んだスープ、ホワイトソース、クリームチーズのデザートなど、ナツメグの色をつけたくないときに使います。

 ナツメグとメースは、スパイス諸島と呼ばれるインドネシアのモルッカ諸島の南部、バンダ諸島が原産です。6世紀には、アラブの隊商によって、エジプ トのアレクサンドリアや、コンスタンティノープルまで運ばれました。11世紀に十字軍が始まると、ヨーロッパの兵士たちがアラブ世界から持ち帰り、スカンジナビアなど北ヨーロッパにまで伝わりました。

 大航海時代になって、ポルトガルがスパイスを求めて海へ乗り出し、スパイス諸島にたどり着きます。そして、アラブ商人を通さずに、東南アジアの島々と、直接取引を始めました。その後、オランダがポルトガルからスパイス諸島を奪い、次に はイギリスが占領しました。やがて種が持ち出されて、植林され、今ではナツメグやメースは東南アジアだけでなく、カリブ海の島々でも収穫されるようになっています。

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